破急風光帖

 

★  日日行行(622)

2023.06.30

* 今回フランスの滞在中にお会いした人からいただいた本を紹介してみようかな?

 最初は天文学者のジャン=ピエール・ビブリンさん。黒田アキさんのアトリエの隣人なので、昔からよく知っている人ですが、日本のJACSAとも共同研究をしていたりする著名人。今回、アキさんのアトリエにお邪魔したときに顔を出してくれて、新著をくださいました。Seuls dans l'Univers(この宇宙にわたしたちだけ)、副題が「多様な世界と生命の一元性」かな。宇宙における生命の可能性を論じた本です。表紙にはアキさんの作品が使われています。その翌日に、ダゲール街の書店でビブリンさんと哲学者のエチエンヌ・クラインさんの対話の会もあって、わたしも末席で聞いていました。

 次は、これは今回はじめてお会いした社会心理学者のアンドレ・マロさんのL'incroyable sagesse du grand âge (熟年期の驚くべき知恵)。これは死に向かい合う人間の態度について、哲学、人類学、心理学、スピリチュアリズムなどのさまざまな次元からアプローチしたもの。ニースの奥の山のなかの邸宅にお住まいで、そこに招かれました。南仏の友人たちのアレンジでした。ガルーダやアフリカの仮面があるサロンで、アンドレさんのシャーマン的ラッパの演奏を聴いたりして。不思議な午後でしたね。

 そして最後が、帰国直前の前日にようやく会えた画家のミケル・バルセロからもらった展覧会カタログ「Grisailles」です。その前日にマヨルカ島から戻ってきたところと。ここ数年、パリのアトリエを訪れていなかったので、ひさしぶりの、なつかしいアトリエ。いま制作中の大きな絵を何枚も見せてもらいました。

 わたしにとっては、フランスあるいはパリという場所は、まったく観光の場所ではなく、人と出会うための場所。今回もいろいろな出会いがありましたが、まずは本から、でした。
IMG_1336.jpg

 


↑ページの先頭へ