破急風光帖

 

★  日日行行(431)

2021.03.11

* 3・11のイメージ4枚、津波が街をのみ込むところ、火災が街に迫る夜の光景、津波に破壊された残骸瓦礫の山、その瓦礫の土地に残された大きな船を撮った写真。流れる音楽はフォーレの「夢のあと」(Après un rêve)。それにあわせてひとり手足を動かし、ダンスのような動きをそえて、最後に駅の近くの花屋で買った一輪の薔薇を投げて、3・11への追悼のダンスとしました。

 東京芸術劇場のリハーサル・ルームで行われた指揮者の木許さんが行っている若い演奏家のためのゼミ。そこに招かれて「音楽と文化」について語ったのでしたが、そのテーマ曲としてフォーレの曲を呼び出したら、去年も同じ3月11日に同じ場所で講義をしたし、2年続きで3・11もなにかの縁、10年目の今年はなにかの行為をしなければ・・・という思いが強くなって、それならと、ダンスというにはおこがましい、わずかな所作をアレンジして「祈り」のメモリアルとしました。
 無謀ですが、わが心はこう動いたので、躊躇もしたのですが、池袋の駅をおりたらつい花屋を探して一輪買ったのでした。風狂な老人ですよね。
 こうはじまったので、ついテンションが高くなり、それぞれの固有の文化へのそれぞれの音楽の「根づき」について語りました。とくにわたしが愛した「密の蜜」、19世紀後半のパリのモデルニテの文化については、マネの絵もアレンジしたり、自分のパリ体験なども混ぜて。
 さらに受講生そして木許さんとの対話を通じて、わたしもいろいろ発見がありました。とくに「聞く力」という言葉が自分から湧き出たのがスリリングでした。とても楽しい時間でしたね。


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