破急風光帖

 

★  日日行行(221)

2019.02.21

* 大失態。わたしとしたことが、約束の日付を1日まちがえていた。フランス語で詩的テクストを書いているときに、メールがとびこんできて、「Yasuo、あなたを待っているわよ」と。ミケル・バルセロの秘書のVictoriaさんから。

 しまった。木曜だとかんちがいしていた!ミケルは木曜に出発するのだった。それを木曜に会うとまちがって頭に入力してしまった。すぐに電話をしたら、Victoriaさん、すぐ来れる?それ以外は時間がとれないわ、と。もちろん、マレー地区にあるかれのアトリエに急行。でも、ミケルはちゃんと迎えてくれました。アトリエをたずねるのは2年振りだろうか、いま描いている作品も見せてくれて、なんとローズさん(二番目の奥さんですね、最初の人もよく知っていたのですが)のお料理まで食べさせてくれました。彼女はタイの人だけどプロのシェフ。おいしい仔羊のカレー。ミケルの展覧会が2021年春に大阪の国立国際ほかで開かれることが決まったとか、嬉しいニュースもたくさんありました。でも、かれの新作タブロー、よかったな。天地海そして月雲光。感動しました。
 帰りに最近のカタログなどもくれたのですが、ひとつはスペイン語の豪華本「ファウスト」、かれが絵を描いているもの、重い、厚い詩画集です。それを持って、ちょっと待って、と下に降りていって、もどってきたときには、その最初の頁に、見開きでブルーの色も鮮やかに絵が描かれていました。A Yasuo  Son ami Barcelo と献辞とサイン。泣けますねえ。もう一冊のカタログには今度は赤の絵の具でイメージが描かれていました。たぶんいつものように即興の筆。かれらしい筆触。かれの世界。
 35キロ分の水彩用の紙を詰め込んで、明日から3週間タイへ行く直前のとても忙しい時間、わたしのために割いてくれて。失態からはじまった午後ですが、すばらしいプレゼントで終わりました。重たい本を抱えての帰り道、今日もわずかに涙腺がゆるみましたね。
 (ミケルについての本を書いているわたしとしては、ようやくかれの大きな展覧会が日本で開かれるのはとてもとても嬉しいです)。

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