破急風光帖

 

★  日日行行(677)

2024.10.12

* では、留留吾吾(2)
 今朝、心にもどってきた詩句はこれでした。
 
 きみはまだきみが信じたきみだけの絶望に支えられている
 きみが病患のなかに装填したものはほんとうは
 もうひとつの肉体の影像
 世界への愛
 希望だ

 清岡卓行の「氷った焔」ですね。長い詩ですが、10ある断章の9の後半です。

 わたしがこの詩と出会ったのは、おそらく1968年、わたしが東大に入学した年ではないかな、18歳ですね。
 そうだなあ・・・74歳のいまも、外に広がる今朝の青空を眺めながら(今日はこれから東大の本郷に行くのですが)思うのは、そのとき、きみが苦しみのなかに充填したものはほんとうは・・・・やっぱり変わることなく、「世界への愛 希望」だったということかな?
 西新宿・十二社の四畳半一間のアパートで、毎晩、一筋の希望のように、こういう言葉を肉体に「充填」していた・・・そういう経験はきっとスマホでは起らないのではないか、と思いますね。
 今朝の青空のもと、戻ってきた小さなちいさな「氷った焔」、掌に受けとめて、ふっと息を吹きかけようかな?飛んでいけ!・・・綿毛のように、鳥の羽のように、枯葉のように・・・彼方へ!
 
 


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