破急風光帖

 

★  日日行行(668)

2024.06.04

* 前回触れた先週土曜の連続イベント、わたしとしては、まあ、楽しく行うことができて、ほっとしています。中断したままの書きかけ原稿に戻らなくては、という感じですが、同時に、少し休ませて!みたいな感覚も。

 日本フランス語学会のほうは、わたしはむしろ言語学の少しだけ外にいる人間として、20世紀の言語学は終わっているのでは?文法中心ではない、あたらしい言語空間の探求へと舵をきるべきだという趣旨で、文学作品への言語学的アプローチのためのベースとなる理論の枠を提示してみるという大それた試みを、20分で述べるという無茶でした。この機会の20世紀の小説をいくつも読み直したりしましたが、自分にとっては、おもしろい発見もありました。それが伝わったかどうかはわかりませんが・・・
 その夕方、虎ノ門で行われた吉増剛造さんとの対話は、わたしにはとても感動的でした。なにしろ吉増さんは、拙著「オペラ戦後文化論」Ⅰ、Ⅱを「心読」してきてくださって、本にもいっぱい附箋が貼ってあり、しかも註のような些細なディテールまで読み込んできてくださった。わたしの本をあんな風に読んでくださる人なんてほかにいないのではないでしょうか。
 とても嬉しかったです。わたしのほうも、1972年からの吉増さんとのクロスオーヴァーの記録を4頁にまとめたものをみなさんにお配りしたりしました。
 半世紀にわたって、わたしの「同時代」の風景のなかに、つねに疾走するGOZOさんがいてくれた、というのはわたしにとっては、キセキ的なギフトでありました。
 詩が戻ってきますねえ・・・詩こそ、わたしの原点ですから・・・
 あっちにふらふら、こっちにふらふらのヘボ・バード(吟遊詩人)ですかね?
 (もう一度、40代のときに書いた「海の真理」(『光のオペラ』所収)のようなものを書かなければならないのかもしれませんね。)


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