破急風光帖

 

★  日日行行(626)

2023.07.04

* で、パリの話です。
 わたしがパリを飛び立ったのが27日の昼前。その日の夜にナンテールの事件が起って、フランス全土がカオスの状態へ。しかし、直接の関連があるわけではありませんが、今回、パリの雰囲気がどこかナーバスというか、苛立っているような感覚はありましたね。

 マスクをしている人はほとんどなく、一見、通常のパリに戻ったという感じではあるのですが、来年のオリンピックのためか、そこらじゅうで工事。また、メトロも時々、路線が止ってしまうなど、なにかスムーズに進行しない。ある時は、4号線だったか、突然、メトロが止って、電車のなかに数時間閉じ込められた人もいたりしました。
 それだけではなく、街を行く人々もなにか違う。わたしにとっていちばん大きな違和感は、若い人たち(特に女性)で、タトゥーを入れている人たちが急増したこと。花とか幾何学模様とかが多いのですが、腕、首、脚・・・あらゆるところに入っている。メトロに乗っている若い人たちの3割はそんな感じでしたね。しかも猛暑なので、みなさん、肌は剥き出しで・・・これがどういう現象なのか、人に訊くと、サッカー選手や芸能人から来ているんだということでしたが、わたしは慣れることができませんでした。
 たぶん、新しい身体感覚がはじまっているのだと思います。
 そして、道路は、いまや、なるべく車がパリに入らないようにしているので、車線が狭くなり、これまでの車用の車線を、自転車と電動スクーター(トロティネット)に明け渡しているので、車は渋滞。街のあちこちに、貸し出し自転車やスクーターが置きっぱなしという事態。ともかく、わたしが馴染んだパリの風景ではないのです。
 もちろんポジティブな変化もあって、それは草。舗道や街のいたるところに、草のための囲いが設けられていて、そこに暑さのせいもあって、草花が繁茂している。地球温暖化への対応をきわめて急進的に進めている!ということになります。
 パリが21世紀へとそのスタイルを変えようとしていることがよくわかりす。
 実際、セーヌ川の両側にあった自動車道路のうち右岸の道は(一部ですが)もう閉鎖されて歩行者や自転車の道になっています。いち早く自動車に反応して外周環状線を準備したパリが自動車から脱却しようとしているわけです。(パリ市内のふつうの道の制限速度は時速30キロ!なんだそうです)。
 さあ、これが、実を結んで、パリが21世紀の首都!として返り咲くのでしょうか?
 パリの空の下・・・・車が止まる!・・・(ウーンウーン)なんて!
 


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