破急風光帖

 

★  日日行行(605)

2023.03.14

* 昨日、大江健三郎さんの訃報が流れました。88歳、老衰と伝わってきました。
  悲しみもありますが、なにか「あっぱれだなあ」みたいな感動がありますね、「老衰」という自然なままで向こう側へ行かれたのですか、と。すごいなあ、としみじみ思いました。みごとにご自分を貫かれたのだ、と・・・

 わたしは深いおつきあいがあったわけではなく、ただ一度、2000年代だったと思いますが、フランス大使館でのパーティのあと、夜道を二人で帰ることになって、そのまま大江さんに誘われて、ふたりで広尾のワイン・ハウスで赤ワイン1本をあけてお喋りをしたことがあるだけです。たった一度ですが、その晩の会話がいまでも心に残っています。
 今年に入って「晩年のスタイル」を考えようと『晩年様式集』も読み返したりしたところでした。
いろいろな思いが交錯しますけれど、みごとな、誰のものでもない大江さんの特異の「存在のスタイル」であった、脱帽!の感があります。
 
 この衝撃を受けて、しばらくストップしていたこのブログになにか書きとめなければならないと思い立って、これを書いています。なかなか言葉にすることが難しいのですが、わたし自身は、先週末をもって(3.11ですね)、精神にひとつの区切りをつけたような感じがしています。少しずつなにか、自分なりのLate Styleを模索していきたい。今日は、東京は、桜の開花とか。世界全体はますますカオスへと向かいつつあることがはっきりしてきているいまの季節、それでも、なにか一本の線を引いてみたいです。


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