破急風光帖

 

★  日日行行(589)

2022.12.14

* 「声/泪 十選」(4)
 慌ただしかったこともあるけれど、この「十選」の(4)が遅れたのには訳がありました。次はやはりシャンソンかなあ?と思っていたのですが、シャンソンとなるとたくさん思いがある。なにしろ18歳で人生の舵を「パリへ」と定めたときから、ずっとシャンソンを聴いてましたから。(でも、いまの若い人は、フランス語を学ぼうとするとき、何を聴くんでしょう?よくわかりませんね、頭に心に歌が入っているというのは、その言語を学ぶときに決定的だと思いますけれど・・・)

 で、もちろんピアフからブラッサンスまで、バルバラからシルヴィ・バルタンまでたくさんの「声」が残っているのですが、わたしの原点はなんといってもジュリエット・グレコでした。実存主義のミューズでしたし。ところが、いまのわたしのCDの山のなかにグレコが一枚もない!!なにしろその時代はCDではなくて、レコードでしたから・・・で止っていたのですが、昨日、散歩の途中にBook Offがあったので入って探したら、グレコが入ったCDがあったので買いました。家に帰って、かけてみる・・・やっぱり泣きました・・・センチメンタル・ジャーニーですね。わたしが最初に買ったレコードは、たしか「詩人の魂」、「ロマンス」、「ラ・メール」、「枯葉」の組み合わせだったか。でも、「ラ・メール」の「qu'on voit danser le long des golfes claires 」なんて明るさそのもののフレーズにこみあげるものがある・・・そして「パリの空の下」の最後の「空が虹をおくってくれる」という詩句には、昨日の午後、まさに首都高を走りながら前方に見えた「虹」を思い出して、泪でした。その遠い「虹」に向かって高速道路を走っているvagabondだよなあ、わたしは!
 グレコは何度も来日しているのに、わたしはコンサート行かなかったですね。バルバラのコンサートにはパリでも東京でも行っているのに・・・昨日、Book Offでついでに彼女のCD「gréco chante brel」もあわせて購入しました。2013年のCD。聴くと、これがすごい。そうか、あなたはこのように過激に老いていったのか、Bravo! やはり実存主義のミューズだったなあ・・と感慨をあらたにしました。・・・・「詩人の魂」、わたしの!


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