破急風光帖

 

★  日日行行(587)

2022.12.10

* 「死」の主題は続きます。
 昨夜は、横浜のBankART Station にARICAの演劇「終るときがきた」Time she stoppedを観に行きました。

 これもまた、わたしの「戦後オペラ」第2作の第3幕第2場の延長と言ってもいいかもしれません。なにしろ、そこで取り上げた太田省吾「水の駅」で「バスケットを手に 歩いてくる」一人の少女の「最期」のシーンが上演されたのでしたから・・・その少女はすでに、年をとって、なんと公園のベンチで数を数えているホームレスの老女となっている。40年後の「水の駅」いや、もはや「水」もない「ベンチ」ひとつ、どこにも行かない、行けない、she stopped・・・「終わるときがきた」・・・「もうこのわたしから立ちさって」・・・・・・この間のわたしの思考の流れがさらに一言付け加えるなら、「死というギフトの方へ」・・・
 じつは、この「日常非常、迷宮の時代』の戦後オペラのなかでは、わたしは第3幕第2場の最後に、その「少女」であった安藤朋子さんを招いて東大駒場で身体ワークショップをやっていただいたことを語っているのだが、昨夜のホームレスの老女を演じたのが、安藤朋子さん。つまり、わたしのファンタジーのなかでは、1981年から2022年にかけて、ひとりの少女がずっと歩き続けているわけです。そしてshe stopped・・・(泣けますねえ・・・)・・・その本のなかでも触れていますが、わたしは、安藤さんとともに、東大の院生たちを率いて、インドの山のなかの劇場に行きました。シャンカラ・ヴェンカテーシュワランの劇場へ。そして、そこで「水の駅」ならぬ「水の災禍」に遭遇した!・・・そのシャンカラが、今日と明日、京都の春秋座で公演を行うのです。行かないわけには行きません。明日、行くつもりです。I don't stop yet・・・歩き続けなければなりません。not yet time to stop・・・(その前に今日は、ひさしぶりに駒場に行って、大江健三郎についてのシンポジウムを傍聴するつもりです!)


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