破急風光帖

 

★  日日行行(584)

2022.12.04

* 「声/泪 十選」(番外篇)
 昨日は、日本橋のお江戸日本橋亭に新内を聴きに行きました。新内・岡本流の「納めざらい」、岡本宮之助社中の「歳おさめ」の会。ここに東大表象文化論院生一期生の高橋幸世さん(岡本宮弥さん)が出演というので聴きに行ったのです。演目は「藤かづら」。撥さばきも鮮やか、伸びやかな高い声もよかったですね。新内を学びはじめて10年超、ニューヨーク在住なのに、谷中の師匠について学び続けています。

 わたしは新内などよくわかっているわけではないけれど、日本の「語り」の伝統が江戸時代に浄瑠璃として完成していく流れには興味がありますね。情の語り、庶民というか、社会のなかで抑圧された人々の「情」というエネルギーの噴出(それはいつも「死」と隣り合わせなのですが)が「歌」となって立ちのぼる。オペラですね。その「深さ」に触れるという感覚でしょうか。
 思いがけず、新内だけではなく、落語も日本手品もアレンジされた粋なプログラムでしたが、最後に師匠の岡本宮之助さんが、「ご祝儀」として「そば」をやってくれました。「細く長く生きる!」だから「そば」!ーーわたしも「江戸っ子」!
 お江戸日本橋で、はやくも大晦日が来てしまいました。
 2022年、この年が終っていく!・・・一瞬、こみあげるものがありましたね・・・


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