破急風光帖

 

★  日日行行(571)

2022.10.09

* 昨日のブログを受けて。今日、まさに一柳さんからのご招待を受けて(と言ってもいいはずです)、神奈川県民ホールで行われたオペラ「アインシュタイン・オン・ザ・ビーチ」(指揮・キハラ良尚/演出・平原慎太郎)を観に行きました。お会いした関係者の話しでは、財団の芸術監督である一柳さんが「オペラならこういうのをやらなくては」と言った言葉からはじまった企画なのだとか。さすが一柳さん、過激です。

 フィリップ・グラスとロバート・ウィルソンが1976年にアヴィニョン演劇祭で上演した不思議な、激しい「オペラ」。昨日のわたしのブログではありませんが、まさに「過激な前衛」の舞台作品です。音楽、声楽、ダンス、俳優と何十人もの人が参加するこの長大なオペラを、たった昨日と今日の二日のために準備するとは!!びっくりです。でも、素晴らしかったですね。なんというか、わたしの世代の原点を思い出したような・・・第3幕のほんとうに激しく続く声と音の反復的リズムを浴びながら、なにやら「芸術」の、あるいは「詩」もしくは「美」の神々が死に絶えていくのを見ながら、泣きました。ああ、あのときすでに「芸術」は、あるいは「人類」は一度は滅んだのかもしれない・・・と。いや、でも、もちろん、そこからグラスとウィルソンの「オペラ」は、それでも「希望」を語ろうとします。「終り」のあとからはじまるものがあることを語ろうとするのです。そう、バイオリンを弾く小さな少年に、われわれはなにかを伝えなければならない。人間は進んでいく。地球とともに、地球の上を進んでいく。踊るように。歌うように。地球も人間も動いていく。そういう激しいメッセージが、すでに、1976年に書かれているのでありました。
 あれからほぼ半世紀・・・人間は、わたしは、いったいどういうところにいるのだろう?(大きなビニール袋のなかなのかなあ!・・・舞台観てない人には意味不明ですね、ごめんなさい)
(ボブ・ウィルソンとも、一度だけ、静岡のSPACの振付のコンクールの審査でご一緒したことも思い出しました。)
 


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