破急風光帖

 

★  日日行行(567)

2022.09.27

* 前回ブログ最後のà bord(舟へ)という言葉に誘発されたというわけでもないのだけど、昨日、高速道路を疾走して、わたしにとっての「方舟」である八ヶ岳の標高1100mにある小屋にやってきました。カラマツと笹に覆われた谷底の、まさに「方丈」、狭いスペースです。一応、コルビュジエのカップ・マルタンの小屋とか、ウィトゲンシュタインのノルウェーの漁師小屋とか、これは小屋ではないが、リルケのミュゾットの館とか、ともかく自分を限定するための極小スペースという「夢」を数年前に自分自身にプレゼントしたもの、なかにはベッドはひとつしかなく、あとは机だけ。ただロフトの空間には、友人のステンドグラス作家にお願いして小さなステンドグラスが2つ向かいあっています。まあ、わたしの「シャペル」ですかね。

 ログハウスなので、上を見上げると剥き出しの組まれた木材がまるで船底のように見えて、わたしには、この小屋は、まさに空という海を渡る、ひっくり返った方舟なんですね。そこに閉じこもって「書くこと」に専念するはずなのですが・・・書けませんねえ・・・この1年格闘しているテーマがもともと無理筋なこともありますが、直観をロジックで正当化することが難しい。数行書いては筆が止まり、今年は手入れをしていないこともあって草茫茫の庭の隅で草むしりをするだけ。やれやれ。

 でも、「いったいなにが問題なの?」と訊いてみたくなった人もいるかもしれませんので、お答えしておくと「シュレーディンガー方程式」なんです。量子力学の核です。
 18歳で偏微分方程式の最初の講義で躓いたわたしに理解できるわけがないんです。でも、リベンジですかね?半世紀も前のわが挫折に対しての?・・・やれやれ、老人って面倒くさいですね。すみません。


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