破急風光帖

 

★  日日行行(557)

2022.06.17

* パリは猛暑が続いています。今日は32度、明日は38度になるというのですから、尋常ではありません。地球温暖化ということなのか。びっくりです。
 

 昨日はパリの友人パスカルさんに教えてもらって、Port Royal に近い小さなルーテル派の教会で行われたピアノ・コンサートに行きました。ピアニストは、哲学者エマニュエル・レヴィナスの子息のミカエル・レヴィナスさん。じつは、わたしはいちどどこかでかれと交差していて、作曲家としてのかれのCDをもらったことがありました。だからピアニストというイメージがなかったのですが。半年ほど前から月に一度、この教会でベートーベンのピアノ曲を次々と演奏するシリーズをはじめたそうで、昨夜は、6回目だったか、Op.14とOp.54それにOp.57のAppassionata(熱情)というプログラムでした。小さな石のドームなので、音が重なって響きが塊になるような感覚がします。最初の二つはわたしの耳にははじめての曲でしたが、「熱情」は若いときに聴きこんでいるので・・・なつかしい!なぜか、昨夜は、特に第2楽章に心が共鳴しました。いい時間だったな。このような遭遇が起るのが、まさにパリですね。
 帰りにパスカルさんとリュクサンブール公園を歩き、ボードレールの彫像の前を通りました。ほのかに月桂樹の香りもして。やっぱり「存在の冒険」!ですかね?その後、パスカルさんのお家の前の石畳の庭で雨燕(マルティネ)が群をなして飛ぶ空を見上げながら、アペリティフのシャンパーニュをいただきました。わたしにとっての「夏至のパリの夜」、これを見上げたかったんです。
 


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