★ 日日行行(535)
* .......misterioso, altero.....croce e delizia ......al cor とイタリア語が耳について離れません。今週水曜に、新国立劇場でオペラ「椿姫」を観ました。プログラムを買ったら、指揮者のアンドリー・ユルケヴィッチさんが「ウクライナ生まれ」と書いてあって、かれの心境やいかに・・・と心の弦がすでに鳴っている感じになりました。公演、素晴らしかった。ヴァンサン・ブサールの演出もよかったし、なによりもヴィオレッタ役の中村恵理さんの熱演、それにアルフレード、ジェルモン役のマッテオ・デソーレ、ケジム・ミシュケタ両氏が好演と主役のトリオの歌に感動しました。おかしなことに、歓喜の歌の「乾杯の歌」でも涙が滲むみたいな・・・
東大駒場の教員になって、表象文化論学科に属することになって、わたしが学んだのがオペラでしたね。はじめは、ワグナーの専門家の高辻先生がヴィデオで特別講義をしてくれたりして、そうか、小林秀雄はモーツァルトについて書いていたけど、かれのモーツァルトにはオペラがなくて、交響曲40番だったなあ、でも、モーツァルトの本領はオペラにこそある、と気がついたのでした。そしてそのころ、日本経済新聞の招待でパリに行き「魔笛」を観ました。かつて若い頃、ザルツブルグに行ったけどお金がなくて、マリオネットの「魔笛」しか観れなかった。そのリベンジができましたね。それ以来、オペラを学ぶということが、わたしの密かな楽しみになりました。ザルツブルグにも行ったし、バイロイトにも行った、ドイツの都市に行くと、当日売りのチケット買って観たりしました。まあ、そういうこともあるから、戦後日本文化論は「オペラ仕立て」になったりしたのでしたね。
(じつは、内緒ですが、今シーズンも「さまよえるオランダ人」も「愛の妙薬」も、こっそり観に行ってます。)