破急風光帖

 

★  日日行行(533)

2022.03.07

* 昨日は、世田谷パブリックシアターに、笠井叡さん演出のダンス「牢獄天使城でカリオストロが見た夢」を観に行きました。1971年から笠井さんがなさっている天使館の新旧お弟子さんたちが一堂に会する特別な舞台。わたしにダンスの扉を開けてくださった山田せつ子さんもそのひとり。大きな舞台で踊るせつ子さんの優雅なダンスを観ながら、ああ、舞台ってなんて贅沢な空間なのだろうと思いました。

 この舞台、圧巻はやはり79歳笠井叡さんのダンス。座った椅子を抱えられて登場したのですが、そこから立ち上がって、なんども倒れながら、また起き上がって踊る、そのダンス、胸がつまりました。6年前くらいだったか、笠井さんを駒場にお招きして講演していただいたとき、まず、マーラーのアダージョが流れ、笠井さんが踊りました。そして講演のあと、それならと、わたしもまた笠井さんといっしょに一瞬、踊ったのでした。「共演」!です。そんなシーンが甦ってきました。
 舞台には、これも駒場に来ていただいてお会いしたことがある山崎広太さんも出演。広太さんの独特の「太郎冠者」的身体もエレガントにおもしろいですねえ。このようにほんのわずかですが接点があった方のダンスを見ていると、そのダンスが、遠い舞台のことではなく、身近な、すぐそこにあるものという感覚がしてきます。近さがそのままで遠さになるというか。Dancing Distanceでしょうかね?
 やっぱりわたしも、わたしなりに、この不器用な、「素」雑のダンスを、最後までやるしかないなあ、と。
 そう、われは囚人にして天使・・・カリオストロのレッスンでしたかね?
 


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