破急風光帖

 

★  日日行行(519)

2021.12.20

* 昨日は、静岡まで車をとばして、1時間の舞台を観てきました。とても感動しました。静岡芸術劇場で行われたSPACの「綾の鼓」。三島由紀夫の原作ですが、わたしにとっては、仏語簡約「マハーバーラタ」で決定的な影響を受けたとも言うべきジャン=クロード・カリエールのテクスト。そして、笈田ヨシさんの演出出演。ダンスの伊藤郁女さんと音楽の吉見亮さんの3人が登場する現代版「能」なのですが、ダンスと音楽とヨシさんの存在感が対立しつつ統合されていて、みごと!深い刺激を感じました。

 ヨシさんとは、95−96年にわたしがパリに一年滞在したときに知り合いました。2、3年前にもパリのカフェでお会いしています。ちょうど自宅の書棚から96年の2月にヨシさんとカフェCharbonであってピーター・ブルックの「Qui est là?」について意見をかわしたメモを含むノオトが出てきたところだったのですが、終演後、楽屋にもお訪ねして挨拶をさせていただきました。帰りに、打楽器の吉見さんにもご紹介されて少し話しをうかがいましたが、なんとSPACの俳優さんで、本来の音楽担当の方が来れなくなって急遽、降ってきた仕事をなさったのだとか、それにしては、伊藤さんのこれもまた素晴らしいダンスとぴったり合っていてさすが、とびっくりしました。
 往復で東名高速を(渋滞もあり)6時間以上運転していたことになりますが、雪を冠した富士山、濃い青緑の駿河湾の海面、満月の月と美しい風光が続き飽きることがありませんでした。
 いい1日だったなあ、Souffrance, Joissance, la Vieとでも言おうかしら(これは舞台を観た方だけが分かる信号です)。
 テーマは、老い(笈?)の恋ということになるのかもしれませんが、わたしは、それとはまったく違うものを舞台に観ていたように思います。
 Art全般ひっくるめて、わたしの2021年のベスト1ですね(今週末に横浜でも上演されるそうです!)。


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