★ 日日行行(506)
2021.10.25
* 新刊が届きました。
吉田喜重・小林康夫・西澤栄美子著『宮川淳とともに』、水声社、1500円です。
1977年秋に亡くなった、わが師であった宮川淳先生に捧げる本ということになります。西澤さんが行った、先生の学生時代の友人であった吉田喜重監督へのインタビュー、それに、2年前に日仏会館で開かれたシンポジウム「イマージュと権力、あるいはメディアの織物」におけるわたしの基調講演(「エピステーメの衝撃」)などをまとめた一冊です。わたしのその講演は、宮川淳の『鏡・空間・イマージュ』とミッシェル・フーコー、そして吉田監督の映画『エロス+虐殺』をつなげて論じたものだったのですが、この本のために、先生のブランショのレシについて語るテクストを引用しつつ、あらたに小さなテクストを書きました。それと、先生が亡くなったときに書いた、つまり1977年に書いた追悼の詩的テクスト「Requiem」も収録させてもらいました。両者を貫くひとつの言葉があって、それは「プレザンス」Présence!ーーーそうですね、existence ではなく、présence!
今回書いた、わたしのテクストの最後の言葉もそれでした。ーーー「そう、プレザンスの遠い、もう見えないくらい遠い彼方の地平に、ーーーそれがなにであるかは誰も知らずーーー「愛」としか呼ぶことのできない淡い微光が拡がっているのかもしれなかった」。