破急風光帖

 

★  日日行行(504)

2021.10.21

* もうひとつパリ情報について、訂正というわけではないけれど、ナンシーの本が本屋の棚に少なかったことを嘆きましたが、昨日行ったソルボンヌ前、エコール通りのla compagnie ではそういうことはありませんでした。ナンシーの本、20冊以上ありました、と報告しておきますね。

 滞在最後の日は、たいてい書店で新しい本を何冊か買いますね。これも昔からの習慣です。大学でフランス語を教えている人間は、フランス語文化の最先端に関心をもつ義務があるとずっと思っているからですが、なるべく知らない作家、知らない本でおもしろそうなものを買ってみるのです。今回もその前夜にパスカルさんに聞いて教えてもらった小説なども含めて数冊。こちらも歳で視力も問題があるし、全部をきちんを読めないのですが、そうやって読んで強い影響を受けた書き手(日本では誰も知らないだろう書き手)がいくらかいますね。出ている本を全部買って読んだ人がひとりだけいます。そういう出会いが楽しい。だからこそ、たとえばわが個人雑誌『午前4時のブルー』第3号では、ウアクニンさんを特集したわけです。この人の仕事は絶対に紹介しておかなければならない、と。日本の大学でフランス語を教えている先生方のうちのどのくらいが、そのような文化の架橋のミッションを自分が荷なっているんだ、と自覚しているかしらね?ときどき、そんな老人の繰り言を言ってみたくなるときがあります。
 


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