破急風光帖

 

★  日日行行(503)

2021.10.21

* 風が吹き荒れています、今朝のパリ。日本を出発する日の朝が台風接近で風が強かったことを思い出します。またしても、風吹き荒れるわが出発!

 Paris change! mais rien dans ma mélancolie n'a bougé.(パリは変わる、しかしわがメランコリーのなかでは動いたものはなにもない)、ボドレールの「白鳥」の一節。今回のパリ、街を歩きながらなんどこの言葉が口をついて出てきたでしょう!ああ、変わっていくんだ、パリは、と。20ヶ月のブランクでしたが、この間に道路の様子はすっかり変わりました。たとえば近所のヴォジラール通りについてなら、4車線あったのが、1車線は完全に自転車/電動スケーター用になり、もう1車線は駐車スペースだったり、自転車置き場だったり、あとの2車線のうちひとつはバス/タクシー専用ですから普通の自動車は1車線だけ。当然、渋滞。しかもパリ市内は基本的に時速30キロ!に規制されている!簡単に言えば、パリから自動車を締め出そうという政策です。しかも、自転車や電動スケーターは、個人所有ではなく、シェアの乗り物。どうやって乗るのか、わたしはまだ学んでいませんが、近くに放り出してある自転車を登録カードで決済して乗るのでしょう。うーん。わたしの身体にはなじまないのですが、ともかく「新しい時代」に対応しようとしていることはよくわかる。しかも、聞いた話では、「セーヌで泳ぐ」!ことができるように、大規模な下水処理の施設も建築中とか。自動車よ、さよなら!へ向かって進んでいるのだと思います。とても大きな変化へとつながっていくことかもしれません。もしこれが、世界の現在の意識のあり方だとすると、わが国はずいぶんと遅れてしまっているかもしれませんね。いろいろなことを考えさせられたパリ滞在ではありました。


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