破急風光帖

 

★  日日行行(494)

2021.10.04

* 日曜日。朝はひどい雨。さあ、仕事だ、と机に向かいました。8月に亡くなった哲学者のジャン=リュック・ナンシーの追悼のテクストを書いているのですが、わたしの思いつきから、ブルガリアの友ボヤン・マンチェフといっしょに書くことにしたので、こちらはまずフランス語でテクストを書いて彼に送り、帰ってきたメールも含めてわたしが日本語に翻訳という二重の作業。おもしろいのですが、時間はかかる。でも、パリにいるせいか、とても自然にフランス語が書けますね。中断していた作業を再開できました。

 ボヤンからのメールに刺激されて、こちらの思考は、「Noli me tangere」(私に触れるな)のまわりを旋回することになって、これが刺激的でした。まだ到着点は見えていませんが。
 夕方は雨があがって秋の日ざしも。で、彼女も寄稿してくれていますので『午前4時のブルー』2冊と頼まれて買ってきた和紙一束を抱えて、イレーヌ・ボワゾベールさんのアトリエへ。彼女の最近の仕事も見せてもらって、いっしょにぶらぶらと歩きながら、この間のパリの様子(彼女は何度も「ひどかった、まるで戦争みたいだった」と)をきいたりしました。モンパルナスの、これもよく通ったLe Selectに行ってリゾットを食べました。少し人が少ない、とくに若い人が少ない感じはしますが、ここではサービスをする人たちもノーマスク。客も誰もマスクをしていません。パリの「日常」のままでした。
 もちろん、ふたりで「ピエタ」のことなども語りあって、いよいよ次の詩画集の制作に入りましょうと約束。ただ、インスピレーションが来ないことには、どうしようもないのですが、前の作品も、彼女が「奇跡的だったわ」と言うように、来たら二日で書けてしまうので。今回、どうですかね?


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