破急風光帖

 

★  日日行行(448)

2021.05.28

* 今日の昼、茅場町である証券会社の前会長オーナーの方と楽しい昼食をして、「希望」や「Integrity」について話しあったのでしたが、そのあとそこから銀座へとぶらぶら歩きました。久しぶりに都心に出てきたので、少し歩いてみようと・・・そうしたら・・・

 銀座1丁目のPola Museum Annexで、田原桂一さんの展覧会をやっているのに出会いました。予約していなかったのだけど、運よく入れることができて、作品を見ることができました。1981年前後パリでかれが撮ったアンドレ・マッソンや、ヨーゼフ・ボイス、フィリップ・ソレルス等々の十数枚のポートレートと、2017年だからかれが亡くなった年に撮った日本人アーティストたちの写真「白の美術館」。でも、80年81年(わたしもパリにいた時だ!)のパリのアーティストたちの「顔」、とりわけその「眼」にうたれましたねえ。「表現者」(これが田原さんの言葉だったようですが)のあの「眼」!なんともいえないあの強度!とりわけ、わたしは、ピーター・ブルックやクロソウスキーの「顔」をじっと見詰めないではいられなかったです。それは、時代の「強度」でもありましたね。
 田原桂一さんは黒田アキさんの紹介でパリで知り合いました。アトリエにもお邪魔したことがありました。対談もさせてもらいました(『創造者たち』、講談社)。それどころか、わたしにとっては、ある意味では、(誰もわからないでしょうけれど)「わたしの哲学」の詩的エッセンスをまとめたものである『思考の天球』(水声社、1998年)の表紙には、「クロアチアの教会ドーム」を撮ったかれの写真をつかわせてもらいました。
 日本に戻ってきたのは知ってましたが、結局、日本ではお会いする機会がないうちに、亡くなってしまいました。わたしより1歳年下なのに。やはり同じ世代の同じ時期のパリの「ポートレート」なのか、わたしにとっては、「わたしのパリ」の写真展でありました。不意に届いた贈物みたい。ああ、時は経つなあ・・・・

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