破急風光帖

 

★  日日行行(429)

2021.03.08

* (このところこのブログに戻ってくるのが少しうすくなっていますね。それほど忙しいわけではないのですが・・・)昨日は、大田区民ホール・アプリコにコンサートを聴きに行きました。「東日本大震災復興支援」音楽ボランティア団体commodoの演奏。指揮が、わたしが東大大学院で教えた木許裕介さん。わたしの「せいで」博士課程進学ではなく、指揮者の道に進んだ人です。9月にいっしょにコンサートを企画していることもあって、一度、指揮振りを見ておきたいと。よかったです。堂々たる、しかし繊細な指揮ぶりでした。スッペ「軽騎兵」から武満徹「他人の顔」のワルツ、プッチーニ「菊」、ラヴェル「パヴァーヌ」など十数曲。素敵な時間でした。ああ、空間に音が響き、響きが波打ち、音楽がわたしを運んでいく・・・さあ、どこへ?ここにいるのに、ここではないところにいる・・・それは、録音されたヴァーチャル音楽ではけっして置き換えできない感覚なんですね。

 アンコールの最後まで聴いて、ホールをとびだして渋谷へ。つぎは、大阪の国立国際美術館の館長の山梨俊夫さんとこの春開かれるミケル・バルセロ展についての対談の席へ。山梨さんとはほぼ同世代(つまり東大全共闘世代ということです)が、お会いするのははじめて。その展覧会のカタログ(わたしも寄稿しています)を作成した水声社の企画(メル・マガ用です)でした。展覧会の舞台裏のご苦労のお話しを含めて、楽しく対談させていただきました。
 音楽そして美術、ひさしぶりに表象文化論らしかったかしら?
 わたしとしては、解き放たれる楽しい時間でした。そのせいで少し赤ワイン(バローロですね)を飲み過ぎましたかね(もちろん、8時ジャストに終っています。)

 今週木曜は、木許さんのお招きで、(昨年も同じ時にやったのですが)、東京芸術劇場で、木許さんがオーガナイズしている音楽ゼミでお話しをすることになっています。
 3・11を意識しないわけにはいきません。
 それもあってその年の秋に南三陸や気仙沼を訪れて、ひとりカメラをまわしながら撮影した映像を見たりしています(中島さんと飯館村にも行きましたね)、そういうことは、UTCPにとってのとても重要な「行為」でありました。その映像のなかで、わたし自身がひとり呟いているのですが、「こんな破壊のあとで、いったいアートなどというものがどのように可能なのか?」と。もちろん、答えはありません。でも、その問いそのものを、もう一度、思い返さなければなりませんね。
 そんな1週間となるかしら?


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