破急風光帖

 

★  日日行行(426)

2021.02.14

* 昨日は、神奈川県民ホールで作曲家一柳慧さんの芸術総監督就任20周年記念のコンサート「Toshi伝説」へ行きました。大きなホールで東京フィルハーモニー交響楽団(鈴木優人指揮)演奏の生の音が立ち上がり、渦巻く、久しぶりの「出来事としての音楽」!2011年の東日本大震災への応答とも言える交響曲第8番「レヴェレーション2011」は圧巻でした。

 コンサートのあと88歳になられた一柳さんにもご挨拶。わたしは、一柳さんが総監督になられた直後の5年間、毎年1月に県立音楽堂で音楽のパフォーマンス・イベントの進行役をやらせてもらいました。多くの学びがあった楽しい、しかも過激なイベントでした(記録は未来社から刊行されています)。90年代から00年代の20年間は、そういうアート・イベントがたくさんありましたね。なにかうねるような「問いかけ」が渦巻いていました。いまはどうなのかしら?わたしが老いて、もうそういう「現場」にあまりタッチしなくなっているだけなのか?それともこのパンデミックもあって、「文化のうねり」そのものが減衰しているのか。
 それにしても88歳で現役、しかも交響曲を含めてスケールの大きな作曲を続けていらっしゃる一柳さんのエネルギーには圧倒されました。
 一柳さんから「71歳はまだまだ若いよ」と言われて、わたしもわたしなりのフィロゾフィカル・シンフォニーの1曲くらいはちゃんと残しておかなければ、と思いましたが・・・まあ、先週の日経新聞の記事で「精神の広大さと向かい合う」と社会に向けて宣言した以上は、もうあとには引けませんね・・・そのときのテーマのひとつは、もちろん(これも昨日聴かせてもらった一柳さんの曲のひとつ)「ビトゥイーン・スペース・アンド・タイム」ですかね。作曲家がそこまで迫ってきているのに、philosopherが応えないわけにはいきません。


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