破急風光帖

 

★  日日行行(423)

2021.02.06

* 今日は誕生日。ちょうど1年前はパリにいて、本ブログにも、自分に贈った薔薇1輪の写真をアップしました。今年に入って、毎週、机に一輪花を飾ることをはじめて、水仙、チューリップ、コアリー、ミモザと続いてきたのですが、今日はやはり薔薇だよね、と夕方の散歩の途中で花屋に立ち寄って一輪買い求めました。

 わたしとしては、人生の転換期としての1年が終って、今日からほんとうに新しい季節がはじまる、と思いたいところです。それなりの覚悟はあるのですけれど、ね。どうなるか。
 前回だったか、「折り目(襞)」のことを考えていると書きました。だから、というわけでもないのですが、今朝は突然、ずっと手もとにあった小さな仏語の本の冒頭を開いて、その最初を翻訳しようとしました。「夜の星空に、きわめて稀なことではあるが、途方もない驚異の星座が現れることがあって、そのミッションは、絶えずたえず、限りなく優しくやさしく、われらのこの悲惨の世界に近づき降りていくこと。そしてその世界を、少しずつ照らし出すこと。その光は、はじめは夕焼けの光なのだが、最後には焔と燃え上がる。」(ヴィクトル・ユゴー)
 十年以上前にパリで買って以来ずっと気になっているアンドレ・デュ・ブーシエ編の(これは翻訳が難しいな)「L'oeil égaré dans les plis de l'obéissance au vent」ですが、仏語ができる人は、このタイトルになったユーゴの詩句のなかに「plis」つまり「折り目(襞)」が入っていることがわかるはず。つまり、「風に従う襞の数々」、どこかで思考がつながっていくのですね。
 このテクスト、いまは説明はしませんが、なにか、わたしの新しい季節への出発にはふさわしいと感じます。断片の詩句、つまりわたしの言い方だとまさに「屑の光」ですね。
 でも、わたしのほうは、「風」もあるけれど、むしろl'obéissancu à l'eau (水に従う)かもしれませんね、流れのままに流れていく、そのような星々、光がにじんで。
 
 (日没直後のショットです。薔薇一輪、落日直後、夕空晴れて。)

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