破急風光帖

 

★  日日行行(421)

2021.02.02

* 今日は2月2日の節分。だからというわけでもないのですが、前回触れた「素数の音楽」の延長線上で、今朝は、「二分の一」とはなにか?ということを考えていました。リーマン予想のゼータ関数という文脈でですが。そうしたら、なぜか二つに折る「折り目」に考えが行き、そのまま、ジャンプして、作曲家ブーレーズの大作「プリ・スロン・プリ」というタイトルが浮上し、これは、「次々と襞」みたいな感覚ですが、もとはマラルメの詩の一節。これを原文でチェックしたら、この詩は、ベルギーのブリュージュの詩で、ああ、フランス留学したときに最初に行った「外国の街」がブリュージュだった、その教会で見たミケランジェロのマリア母子像の清楚な美しさにうたれたことも思い出したりしました。

 という具合に、まさに霧の街を迷走しているだけなのですが、思えば、マラルメこそ、わたしがもっとも多くの時間を捧げた研究対象だった、にもかかわらずマラルメについて書いて発表したのは、ただ筑摩書房のマラルメ全集の月報に載せてもらった小さなエッセイだけ。フランスでの博論準備論文(DEA)はマラルメで、かれが住んでいた家まで訪ねたり、帰国後、日本でも数年にわたって研究会をやっていたにもかかわらず、わたしが書いた論文はゼロ。
 と、今朝の思考は、最後には、どうも何事もやり遂げることのないわたしではあるなあ、と、しかし嘆くというよりは、納得という感じではありました。唯一、研究として取り組んでいた対象についての仕事が成果ゼロ!まさに研究者としては失格なのですが、それもまたよし、という開き直りもありますね。(マラルメについて授業したことも一度もなかったなあ!)


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