破急風光帖

 

★  日日行行(400)

2020.11.16

* 「日日行行」というただ日々(どこへとも知らず)行く、断固行く、という思いのタイトルでしたが、すでに400回。どこにも行き着かず、ただ行くだけ。あまり内容がないブログなので、読んでくださる方々には感謝申し上げます。(いつまで続くのでしょう?そろそろかなあ、と思わないでもないですが・・・)

 昨日は、遠隔オンラインでしたが、「地球システム・倫理』学会のシンポジウムに招かれて、話題提供をしました。新型コロナ現象をどう読むか、というテーマでしたが、「地球」と「倫理」という言葉を含んでいるこの学会名に関心を引かれて、コロナを出発点にして、「地球」から「倫理」へ、どのように向かうかという「哲学的ファンタジー」を語らせてもらいました。
 この発表を準備していて、「倫理」という以上、しかもたとえば「実践的理性」みたいに理念的な上からの道徳ではない、強いていえば「倫理以前の倫理」みたいなものを模索しているので、そこにはなにか「範例」というものがなくてはならないと思ったのですね。それで結構、悩みました。
 そのとき、家の人との何気ない会話のなかで、フランスで「奥の細道」の新訳が出た話になり、その翻訳のコメントのなかで語られている「ほそみ」という言葉が、わたしが今回提起しようとしたいある種の「慎ましさ」の倫理とつながるような気がしたのです。それで「奥の細道」を読み直してみると、まさにこれは「地球・倫理」へのアプローチとして読めるのではないか、と思いつきました。 というわけで、発表の最後は、「荒海や佐渡に横たふ天河」となったわけです。思いがけない展開で自分でもおもしろかったですね。まさに詩的なファンタジー。みなさんにどう受け取られたのかはわかりませんが。でも、芭蕉の蕉風を、その「美」を、そのような「倫理」として理解する道があると思いましたね。まともに論じたら、たいへんな仕事になっちゃいますが、こちらは、ここで発句をひとつ、というだけ。(慎ましさですね)。あとは次の人に連句していただくことにいたします。


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