破急風光帖

 

★  日日行行(399)

2020.11.08

* 11月に突入してはや1週間。先日の六本木アカデミーヒルズの近内さんとのトークは、ウィトゲンシュタインについてのわたしの思いみたいなものが少し過剰に迸りましたかね。なにしろ、『論理哲学論考』を逆さまにひっくり返そうとする詩篇を書いて(半分までで未完成ですが)、それをマーラーのアダージェットでダンスしたりしたこともあるので。つい、きっと最後のいいチャンスと、少し入れ込みすぎたかもしれませんね。楽しかったですが。

 いまは、80年代にフェリックス・ガタリが来日したときに、数人と行った対話の記録を部分的に翻訳しています。『煉獄のフランス現代哲学』の下巻のためですが、結局、陽の目をみなかった質疑応答。それに関係した以上、そういう記録があるということだけでも残しておきたいな、と。すでにフランス語の原文起こしのコピーは数年前に、ガタリの研究をしているというフランス人女性研究者に郵送してありますので、フランスの方はいいと思うのですが、わが国にも少しだけでも痕跡を残しておきたいなあ、と。まあ、こちらが年取ったことによる、ある種の「責任」(?)みたいな感覚ですね。ほんとうに「時代」というものは不思議なものですね。色というか、雰囲気というか、まったく異なってしまう。いまもそうですね、わずか1年足らずで、すべてが大きく変わっていきます。そうそう、次の日曜には、ある学会のために、これも遠隔ですが、この時代についての「哲学的ファンタジー」を、「倫理」に向けて、考えてみたいと思っています。重い課題ですが、なにか、動くものを感じます。
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