破急風光帖

 

★  日日行行(390)

2020.09.02

* やっと9月になりました。秋の気配。いや、わたしの個人的感覚としてはひとつの区切りを刻んだような気がします。8月末、前回お話ししたひさしぶりの対面での講演のあと、今度はオンラインで数時間に及ぶ奨学金の面接をこなし、翌日月末の午後は、東大本郷の東洋文化研究所で中島隆博さんと対面で!3時間にわたる対談をしました(非公開で、内容はいずれブックレットになるとうかがっています)。

 この対談のテーマ、なんと中島さんの最初の問いかけが「あなたの幼年時代はどうでした?」という不意を撃つもので、びっくり。そこから出発して3時間、わたしの知的な成長/冒険がどのようなものであったのかを尋ねられたのです。こんなこと、はじめてですね。わたしの「人生」が対談のテーマになるなんて!誰もそんなことに興味もたないと思ってましたので。長年の同志だからこその温情ですね。ちょうどわたしもある意味では自分の過去を振り返りながら、それに「区切り」をつけようとしていたところなので、とてもありがたかったです。
 その作業のひとつとして、フランス現代哲学とわたしとの遭遇を語る本を準備していますが、昨日、つまり9月1日、最後のゲラを出版社に戻すことができました。これで9月25日には、『《人間》への過激な問いかけ ーーー煉獄のフランス現代哲学(上)』(水声社)が出版されると思います。下巻はまだこれからですが、さまざまに異なるテクストの集成ですので、編集がたいへんでした。4月からはじめた作業がようやく実ります。ほっとしています。


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