破急風光帖

 

★  日日行行(394)

2020.09.26

* 感傷、ノスタルジー。今週は、フランスの歌手ジュリエット・グレコさんの訃報に心を揺さぶられました。18歳から20歳頃、どれほど彼女の歌うシャンソンを聴いたことか。4曲しか入っていない小さなレコード。それを繰り返し何度も聴いてました。A面は「枯れ葉」それから「ロマンス」、B面は「聞かせてよ、愛の言葉を」と「パリの空の下」だったかな。とくに、「ロマンス」がわたしのテーマ・ソングでしたね。Paris qui n'est à personne est à toi si tu le veux...........

 50年前ですね。でも、以後、ブラッサンスとか、バルバラとか、いろいろな歌手のシャンソンを聴きまくっていたので、いま部屋を探してもグレコのCDなど1枚ももっていません。でも、その当時を思い出して、聴きたいなあ、と。
 いまはYouTubeという便利なものがあって、それで聴きました。すると、彼女のリズム、息づかい、アクセント、ひとつひとつの発音、全部、覚えていることに気がつきます。まるで昨日、聴いていたように甦ってきます。と同時に、半世紀前の自分にとって、パリへの憧れがどれほど強かったか、どれほどロマンティックだったかも甦ってきます。そう、グレコは、わたしにとって、最初のミューズだったんですね。わが最初のミューズの冥福を祈ります。
 


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