破急風光帖

 

★  日日行行(380)

2020.07.14

* ここには毎日のニュースに反応するような言葉は書きつけないことにしているのですが、今日(パリ祭!の日ですね)はちょっと甦ってきたイメージがありました。大きなイエスの顔、モザイクの壁画。そう、イスタンブールのアヤ・ソフィアの壁画です。

 トルコがこの世界遺産の場所をモスクにすると表明し、それにヴァチカンの法王も批判声明を出したという記事でした。わたしがアヤ・ソフィアを訪れたのは2001年「9月11日」の悲劇の直後でした。イスタンブール・ビエンナーレのシンポジウムに呼ばれて行ったのでしたが、わたし自身も駒場寮問題の混乱の直後、人生に何度かあった「危機」の時代でした。そのときの地中海の海の緑の光がどれほど「慰め」になったか、その光のひとつにアヤ・ソフィアもありました。
 はい、感傷ですね。記事に添えられていたアヤ・ソフィアの建物の写真を見ていたら、イエスの壁画の顔が浮かび、それが地中海の光と結びつき、あのときの精神的肉体的カオスのなかに垂直に落ちてきた「時の光」の強度を思いだしたわけです。
 感傷なのですが、わが人生にそういう「時」がいくつか宝石のようにちりばめられていることを、「恩寵」は言い過ぎかもしれませんが、とても「ありがたく」感じます。案内をしてくれた現地の学生(なんという名前だったか?)可愛かったなあ、最後は彼女のお家にも立ち寄って家族の方に挨拶したりしましたね。 
 なんだか、急にもう一度行きたくなりました。飛んでイスタンブール!はい、そのように。


↑ページの先頭へ