破急風光帖

 

★  日日行行(383)

2020.07.29

* インスタポエム(9)

 もうひとつ脈搏つ存在(もの)がある
 Double(ドゥーブル)
 半身水につかって
 黒く、浅く、速く、
 流れて
 呼んでいるのか、わたしを?
 だが、どこへ?

 先週の日曜日、川越に行きました。昔からの友人たちに会うために。ひとりは純一さん、20歳くらいからの友人、画家。かれの展覧会を観るのがひとつの目的でした。そしてもうひとりは、わたしのもっとも古い友人の雅子さん。拙著『若い人のための10冊の本』56頁で語った中学校時代3年間の大親友ですが、彼女と会ったのは小学校1年のときからだから、ほんとうにいちばん古い友人。最近は全然お会いしていなかったのですが、会うと昔ながらの友情の響きがそのまま生きている。すてきですね。三人で風情のあるお蕎麦屋さんで楽しく会食しました。それぞれ、もちろん、年だから、いろいろな問題は抱えているのですが、いっとき昔話が花咲きました。純一さんとは、同じアパートの上下に住んでいたのですが、その頃、わたしはリコーダーの笛をしょっちゅう吹いていたのだそうです。全然、覚えていません、わたし自身は。でも、たしか学生が占拠していた東大の工学部のホールかなにかで、二人でデタラメ・ジャズをみんなの前で演奏したこともありましたね。わたし、ピアノ弾けないのに鍵盤をむちゃくちゃに叩いていた。純一さんはヴァイオリン弾いていたのではなかったかな。その頃、何人かの友人と同人雑誌をやっていて、「あいぬけ」という題でしたが、その巻頭頁に、純一さんが一言「さみしくて、おれたちが主役さ」と書いたのをいまでもよく覚えています。そのとおり、さみしくて、でも、わたしが主役さ、わたしの人生のね。


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