★ 日日行行(362)
2020.06.11
* 前回、まるでタロット・カードのように本棚から本を抜いて頁を開く技法?を披露しましたが、じつはあのときもう1冊引いた本があったので、でもそれは「偶然」ではないな、文字通りタロットがタイトルの「大アルカナ17」、アンドレ・ブルトンのいわゆる『秘法17番』(宮川先生の訳、つまり半世紀前に買った本ですね)でした。
20世紀のフランス文学では、わたしはプルーストに魅かれるよりは、圧倒的にブルトンに、そしてセリーヌとカミュに魅かれますね。多くの文学作品について批評的に論じてきましたが、わたし自身にとっては、『表象の光学』の末尾に、そのためにだけ書き下ろした!ブルトン論(「墜落と希望ーーブルトン『ナジャ』における痙攣的実存」)に、わたしにとっての「文学」の「すべて」が書き込まれていると思っています。『ナジャ』と『狂気の愛』と『秘法17番』(『通底器』を入れて四部作かな)ーーこれですね。
「光を創り出す者はほかならぬ反抗であり、反抗だけなのだ。そしてこの光はただ三つの道しか自分に認めない、同じ熱中を吹き込み、この熱中を永遠の若さの輪郭そのものとすべく、人間の心の明かされることの少なく、もっとも照らされうる地点に集中しなければならない詩、自由、そして愛」。これが末尾の言葉ですが、そのひとつの形態がわたしにとってはCelebrationにほかなりません。