破急風光帖

 

★  日日行行(357)

2020.05.26

* And my heart will go on and on ・・・で少し涙がにじみましたね。緊急事態宣言解除という報道の余波だと思いますが、ときどきあるのですが高速道路をひとりで音楽を聞きながら疾走しているときに突然、涙が出ることがある。前にベートーベンの「田園」で文字通り号泣した話はすでに書いたことがありますが、今回は号泣とまではいかず、しかし夕陽に染まる西空に向かって走りながら、終わりなきカタストロフィーの時代を疾走するわれわれ人類の運命を思いました。

 もちろん、映画「タイタニック号」の主題歌です。昨年、「読書人」の求めに応じて「平成」という時代を代表する本を3冊挙げるという記事の冒頭に次のようなことを書いたことを突然思い出していたからですねーーー「奇妙に明るく軽く、しかしいくつものカタストロフィーが刻み込まれていないわけではない不思議な時代であったということになるだろうか。このままでは確実に「氷河」にぶつかるとわかっているのに、ホールでは人々がしなやかに踊っている「タイタニック」号のように。97年のセリーヌ・ディオンのあの主題歌こそ、「平成」の主題歌でもあったか。」
 「平成」の主題歌がそのまま「令和」の主題歌になったという感じかなあ。「氷河」が眼に見えない「コロナ」に置き換わるとは予想もしていませんでしたけれど・・・セリーヌ・ディオンの声の強い響きを聞いているうちに、自分自身も高速道路を疾走するタイタニック号に思えてきたのかもしれません。こちらは実は午後のあいだ二人の孫を預かって「保育園」をやり、いっしょに砂場で遊んだあと子どもたちを送り届けた帰りだったのですが。わたし自身は、この「自粛」期間を過去の片付けの時間として比較的のんびりすごしていますけれど、もちろん渦巻く時代の底流に巻き込まれて揺さぶられています。Near, far,wherever you are・・・・・わたしの心はどこに向かって進んでゆくのか・・・・

 


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