破急風光帖

 

★  日日行行(348)

2020.05.08

* 今夜の十六夜の月も冴え冴えとしてすてきでした。誘われるように、今日は夜の散歩にして、ずっと月影を追いながら歩いていました。

 そうしたら、昔(2006年ですね)新国立劇場のステージで宇宙飛行士の毛利衛さんと対談していて、「わたしたちの地球には月があってよかった」と言ったことを思い出しました。それに続けて「月がなかったら、この広い暗黒の宇宙のなかでわたしたちはとってもさみしい」と言ったのでした。『知のオデュッセイア』(東京大学出版会)の付録のエッセイのなかに記録がありますが。
 その記録によると、わたしは、宇宙のなかの地球の映像を見ながら、「なんと雲がなつかしい」とも言っていますね。そしてその短いテクストをこう結んでいますーー「青い海の上の白い雲、赤い大地の上の白い雲、いつかずっと昔、まだ地上に生まれていなかった昔から、わたしはこの雲の光景を見て識っていたのではなかったか。そんなことまで夢見るように考えた夜だった」と。
 そうね、今夜は、「なんと月がなつかしい」かな? 十六夜の月ってそういうところがありますね。


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