破急風光帖

 

★  日日行行(300)

2020.03.05

* 「今日、初雪が降った。日中、何回かにわけて、そのたびごとに違った降り方で。でも、溶け方はまったく同じ。突き固められ、平準化されたアスファルトと地面は、まだ緑の色をした枯れ葉で覆われているのだが、それが雨のあとのように湿ってしまうのだ」(アンドレイ・タルコフスキー「初雪」)

 今回、パリで買った薄い本のもう一冊。ロシアの映画監督タルコフスキーが若いときに書いたエッセイ・詩を集めた本におさめられた一篇の冒頭。このなかでかれは、5年前のシベリアで経験した「冬の訪れ」、そしてそれにちなんだひとりの老人との印象的な出会いの物語を語っています。フランス語の翻訳は、Philippe Rey社から2004年に出ています。きっと日本語の訳もあるのでしょうけど。昔観た『ノスタルジー』ほかの作品のことを思い出しながら、こういう短篇を電車のなかで読んでいたりします。


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