★ 日日行行(297)
2020.03.01
* 「私が初めてそのことになんとなく気づいたのは、日本の哲学の特徴について小林康夫と話をしているときだった。『日本の歴史や文化の中に、哲学に似たものを見出そうとするくせが私にはありますと小林はいった。ただしそれはプラトンやアリストテレスのの哲学のような、『世界を概念的に再構築するものではない」。そうではなく、『人間と世界の境界面」で生じる「ある種の審美的な反応にもとづくもの』であり、『いちばん身近なもの』に『とても敏感』に反応する体験的なものだ。それは『日本の哲学的な思想の魅力』であると同時に,『問題』でもあるという」。(ジュリアン・バジーニ『哲学の技法』(世界の見方を変える思想の歴史)、黒輪篤嗣・訳、河出書房新社)
出たばかりです。帯にわたしの紹介文が載っています、「哲学こそ、いま、旅をしなければならない!インド・イスラム・中国・日本ーーー英国の哲学者が〈世界〉と出会う」と。
すっかり忘れていましたが、もう7、8年前になるかなあ、と思いますが、UTCPにやってきたバンジーニさんと話をした思い出があります。わたしのたどたどしい英語で会話を1時間ばかりしたのではなかったでしょうか。その言葉がこういう形で、かれの本の一部になっているというのは嬉しいですね。これだけでも、UTCPをやったかいがありました。世界の学術はやはり英語ベースになっていますので、英語でなにかを残しておくことは、未来へのつながりを確保するためには欠かせません。それは、21世紀、日本の大学人がつねに心しておかなければならないことだとわたしは思っています。