破急風光帖

 

★  日日行行(274)

2019.11.24

* 最近は音楽を聴いて涙することが多くなってきましたが、歳のせいですかね。つまり、自分が「過去」を抱えた存在としてあるということかな。なにしろ70年に及ぼうというわけだから。一昨日の金曜夜にもそれが起こりました。

 ある方のお招きを受けて、ミューザ川崎にコンセルトへボウ(パーヴォ・ヤルヴィ指揮)のコンサートに行きました。素晴らしい音楽。なにしろ、最初がわが人生の「主題歌」とも言うべき「タンホイザー序曲」。四半世紀以上前にバイロイトの見えないオーケストラ・ピットからこの曲が立ち上がってきたときの感動を思い出したりして。
 次は、ランランのピアノでベートーヴェンの協奏曲第2番、はじめて聴く曲でした。おもしろかったけど、どうもピアノのうまさがわたしの感覚とずれるような。
 でも、圧巻は、ブラームスの四番。わたしにとっては、(どうしてかは言いませんが)、きわめて思い出多い大事な曲です。素晴らしい演奏でした。2楽章にも4楽章にも泣けました(あのフルート!)。自分の人生のある瞬間が音楽とともに戻ってくるみたいな感じですね。いま、しかし同時に、過去の時間、みたいな。ある種、精神分析を受けているみたいと言いましょうか。禁じられた無意識ではなく、前意識が立ち戻ってくるのですがね。生きられた時間というものは、流れないと言ってもいいかな。これが音楽の秘密ですね。すてきなプレゼントをいただいた夜でありました。
 昨日は、NHKの「クールジャパン」の収録。テーマはなんと「クリスマス」でした。たしか12月22日の昼に放映だと思いますが、このお仕事ももう14年続いています。

 で、ようやく少しほっとできる日曜日でありました。今週は、書く仕事ですね。来週はボヤン・マンチェフさんたちがやってきます。この間に原稿片付けておかなければ・・・・

 
 


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