破急風光帖

 

★  日日行行(272)

2019.11.22

* 昨夜は、アメリカから着いたばかりのトマス・カスリス先生といっしょに、われわれ「三酔人」ということになっている高田さん、中島さんとわたしで会食。わたしにとっては、まさにわがUTCP!が戻ってきた晩でありました。

 当然、おいしい食事をいただきながら、議論は、西欧文化と日本文化の根底のちがいについてから、朱子学の受容、さらにはローマ文化とギリシア文化という西欧の二つの源のずれの問題と大きく広がります。それが、冗談も含んだテーブルの話題で楽しく語られるところが、さすが年期の入っている友情。おたがいに相手のプライヴェートな生活のことは知らず、ただ学問的な関心をぶつけあって、なにかを確かめ、対話を楽しむ。その余韻は今朝になってもメールの交換という形で続いていましたが、これこそ!わたしがUTCPでやろうとしたことにほかなりません。友情なしに国際交流なんてできません。交流は形式ではないので、昨夜出たキーワードで言えば「Field」ですからね。

 続いて12月には、ブルガリアからボヤン・マンチェフがやってきます。しかも、今度はひとりではなく、かれの劇団[メテオール」の演出家アニーと役者レオとともに。なにしろ、今年、かれれはブルガリアで「土方巽とその分身」!という舞台を立ち上げたのですから。嬉しいですね。日本の戦後文化の「花」である土方の舞踏を、東欧の地でいま、受けとめてくれる人たちがいる!これこそが、国際交流でなくてなんでしょう!
 カスリスさんたちの日本哲学を世界へと解き放った大仕事に対してもわたしは深く感動し、深い感謝の気持ちをもっていますけど、このボヤンたちの試みにも同じ深い感謝があります。でも、一般的に言って、日本人は、こういうことに対して概して冷たいですね。自分たちがいいと思うものを一方的に海外にもっていって、いい気になっているだけで、ほんとうの交流など全然できていない。ひとりよがり。創造の現場において結びつかなければ、たんなる異国趣味で終ってしまいます。

 だからこそ、そのボヤンたち一行を迎えて、かれらの仕事を中心に対話が行われる場を提供してくれたのが、やはり!「わが駒場」であることに、わたしはほんとうに嬉しい。じつは、これこそが、ほんとうの「駒場スタイル」というものなんですけどねえ。わからないだろうなあ。これを可能にしてくれた中島さんの「友情」に感謝です。
 というわけで、以下に12月1日日曜に行われる、EAA主催のイベントの案内を貼付けますので、どうぞみなさんいらしてください。お願いいたします。(わたしも登壇いたします)。

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