破急風光帖

 

★  日日行行(266)

2019.10.15

* 颱風19号、思いがけない氾濫の被害。心痛みます。こちらはほとんど颱風の中心が通った地域にいましたが、思ったよりは風雨が強くなかったので安心していたのでしたが。二子玉川や武蔵小杉と遠くない地域が浸水が広がり、海外を含めて、安否確認のメールが届きました。ご心配くださった方、ありがとうございました。

 今日は、午後は青学の研究室にいたのでしたが、夜になって、そのまままっすぐ坂をおりて、並木橋のところにあるコンサート・アトリエで、ファドを聞きました。歌手は、松田美緒さん。9月に筑波大学の国際日本学シンポジウムで基調講演をした日の夜の懇親会で、「日本のクレオール歌曲」を歌ったのが、松田さんでした。そのときはじめてお会いしました。今夜のコンサートをそのとき教えてもらったので、場所も近いし、と出かけて、当日券を買って入りました。
 よかったですね。20代でリスボンに行って住みついてファドを歌っていた美緒さんらしく、彼女が歌っていると、彼女の心のなかにリスボンのさまざまな地区や街路などの光景を横切っていくのを感じてしまいます。リスボン、わたしは行ったことがないのですが、そういう風景が美緒さんの精神のなかに流れているのを感じる。そして、それぞれの歌の心を感じる。すてきです。
 ボサノヴァ、ジャズ、でファド。きっとわたしの心もまた、この人生の転換期に、そのような「歌」を求めているのかもしれませんね。新しい歌をきかなければ、知らない歌を聞かなければ、とそう思います.新しい感覚を求めなければならない。このまま70年の人生をただ延長するわけにはいかない、そういう感じかな。もっと耳を開かなければならない、未知の歌に。未知の感覚に。世界の途方もない深さを、人間の魂の途方もない高さを、もっと学ばなければならない。もちろん、楽しくね。
 


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