破急風光帖

 

★  日日行行(259)

2019.08.30

* 『午前四時のブルー』第3号が刊行されました。1週間ほど前に印刷あがっていたのですが、フランスから帰国して、わたしは昨日、ようやく手にとりました。今回は闇の黒の表紙。特集タイトルは「蜻蛉の愛、そのレッスン」となっています。水声社、いつものように1500円で販売しております(Amazonでは買えません)。

 表紙をあけるとミケル・バルセロが京都のある邸宅の壁に描いた蜻蛉と豹の絵。それから、舞踏家工藤丈輝さんを撮ったルシール・レイボーズさんの写真が続きます。今回は、工藤さんが「目玉」のひとつ。そして、もうひとつが、フランスの哲学者ラビであるアラン=マルク・ウアクニン。日本ではほとんど知る人のない、きわめておもしろいこの人の仕事を紹介しようというのがもうひとつの柱です。「だからひとは蜻蛉を愛する・・・」これはカフカの言葉なのですが、それをタイトルにしたウアクニンさんの本から、かれとかれの師との不思議な交流を書いた第一部を翻訳して載せています。ブランショ、デリダ、レヴィナスなどのフランスの哲学/文学に興味のある人にはぜひ読んでもらいたいですね。わたし自身もこの2月にウアクニンさんのシナゴーグでのゼミに出席し、その見聞記を載せています。
 これで3号です。「三号雑誌」と言われるのは嫌だから、4号までは出そうというのが、水声社の鈴木社長との約束です。すでに4号の構成を考えはじめています。行き当たりばったりで思いつきで動くのですが、それがこうして一冊の書物=雑誌として存在するのに立ち会うと、やはり嬉しいですね。物事は、存在を与えなければ意味がないので。
 ささやかだけど、庭。そして庭だからこそ、いろいろな花が咲いている。わたしは園丁にすぎません。今回の庭の空を飛ぶ、工藤さんとウアクニンさんという二匹の蜻蛉の姿を愛でていただけると、園丁としては嬉しいです。
 わたし自身は、ほかにパスカル・キニャールさんのお宅を訪問した短い記録と、いつものように連載中の「秘法XXI番」を掲載しています。後者の密かなテーマは、「突然泣く」ですかね?
 よろしくお願いいたします。


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