破急風光帖

 

★  日日行行(187)

2018.11.01

* オクトーバーステップスが、なんとか乗り切れて、はや11月。風狂の月。野ざらしの心に風のしむノヴェンバーステップスなんですが、実際、後半には10日間だけフランスに行く予定にしています。

 この時期は、逆に、向こうから来る人も多くて、今週は、ローマの友人、外交官でもあり小説家でもあるマリオ・バッターニさんと神田であんこう鍋をつつきました。かれは、2011年の震災の直後に、ローマのなんとアラパーチスで震災の被害者への思いをこめた義援金のための会を開いてくれて、フランスにいたわたしも呼ばれて駆けつけて、壇上で短いスピーチをしたのでした。Primavera春!などと叫びながら。あのときは不思議な縁でわが友人たちが集まった。ローマの空港に着いてすぐに車中でインタビューを受けて、翌朝の新聞にわたしのコメントがのっていたりしました。忘れがたい濃い、激しい思い出がよみがえります。あの年の残酷な春のローマの光景がまざまざと浮かびます。かれとは2年くらいあっていなかったけれど、なにか大事な時間をいっしょにすごしたという感覚がある。いつも会っていても、そういう感覚が起きないことが多いのに、たまにしか会わないのに、その「会うこと」がなにか違う意味をもってくるような一群の人たちがいますね。
 そういえば、来週は、パリのわたしの「ブラジル人のおねえさん」ということになっているサンドラもやってくるし、そういうどこか家族的な関係をもつ外国人の友人がいるのは、ありがたい、おもしろいこと。しかも、今日は、フランスから、ヴィオレーヌさんがやってきています。わが家にお泊まりです。わたしがまだ学生のとき40年以上前に東京であった人です。実際、彼女を通じてこそ、いまの奥さんと出会ったわけだし。その意味では、彼女こそ「ほんとうのおねえさん」みたいな人です。
 人って、しかし不思議なものですねえ。しかし、その不思議は「出会う」ことにおいて現れてきますね。


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