破急風光帖

 

★  日日行行(185)

2018.10.26

* 夜の漢江(ハンガン)を見下ろしています。ソウルの龍山にある最近オープンした高層のホテルの27階。最初にソウルを訪れたときに、漢江に感動したことを思い出しますが、その河を見下ろす風景を楽しむことができるなんて。

 今年、ヨンセ大学を定年でおやめになった白永瑞先生のお招きで、こちらの化粧品会社のアモーレ・パシフィック財団が主催するIn search of Asian beautyというシンポジウムに参加するために来ています。今日が初日で、その最初の発表者に指名されて、A trajectory of Flowers:The Transmission ande Revolution of the Japanese Cultureというタイトルの英語の発表を今朝、行いました。発表時間が25分くらいであるにもかかわらず、大きなテーマを掲げてしまい、そのために講演原稿は長くなって、どうしてもカットしないわけにはいかないみたいな、結構、きびしい発表で、最後まで迷って悩みました。
 結局、真ん中の展開をはしょったり、和歌の部分は解説抜きで、それを読み上げるみたいなパフォーマンスを導入したり、即興の下手な英語で要約したり、と悪戦苦闘。日本語やフランス語なら、気のきいた対応ができるところが、ふだんまったく使っていない英語はなかなか機能してくれません。
でも、なんとかやりとげて、中国から来た若い建築家の発表者などには、「おもしろかった」と言ってもらえたりしたので、自分をゆるすことにします。重荷をおろしてほっとしました。
 日本人の発表者はわたしひとりだったのですが、白先生をはじめとして、日本語が堪能な方も多くて、デペイズマンを感じないでいられるのはありがたいことです。こういうことも、UTCPというものがあったからこその展開。ほんとうに、定年後にこそ、UTCPを長年やり抜いたことの「ごほうび」をいただいているように思います。そして、今夜のディナーには、表象文化論の元学生のキム・ハンさんも駆けつけてくれました。明日1日シンポジウムを拝聴して、日曜には帰国します。

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