破急風光帖

 

★  日日行行(182)

2018.10.09

* で、昨夜、青学の本田記念講堂で、坂本龍一さんと福岡伸一さんの対談でした。わたしは、開演前に控え室にお邪魔して、坂本さんと5分ばかりお話ししました。ひとつどうしても聞いておきたいことがあって、この機会にと。10年以上前に駒場に来ていただいて、銀杏の枯れ葉を敷き詰めた舞台で二人で対話をしました。それ以外にも、2、3度軌跡が交錯したことがありましたが、それ以来、ちゃんとお話しできたのは昨夜のこと。お話しできてよかったです。ちょっと胸がジーンとくる内容でした。

 お二人のトークのあとに、学生のプレゼンのコンテストの表彰式がありました。わたしは審査委員長として講評を述べることになっていたのですが、朝、遊び心が湧いてきて、すでに土曜日に一度講評はしたことだし、また通り一遍のスピーチをしてもしようがない、もっと学生たちにインパクトのあるメッセージを伝えたい、と思ったら、そうだプレゼンのなかにラップをやっている学生がいたぞ、かれにわたしのことばをラップで語ってもらったらどうだ、と。かれは賞はとれなかったのですが、なかなかおもしろいところもあったので、土曜のそのプレゼンを即刻、二日後の表彰式に応用してみたらどうか、と思った次第。文化創造というのはこのように下から突き動かしていくものであって、どこでも同じようなありきたりメニューをこなしていくだけではだめですよ、と言いたいわけですね。
 で、表彰式の直前に、そのかれを呼んで、この言葉でラップしてくれない?と頼みました。はい、と言ってくれたはずだったのですが、いざ、出番になると、かれは、他人の言葉はラップできないと渡された紙はぱらっと舞台に捨てて、自分の言葉でラップ。そうくるか。だが、そこでへこむわたしではない。それならわたしも、とかれが終るとすぐさま捨てられた紙を拾い上げ、マイクをもって、人生はじめてのラップを人前で。「坂本教授のお話しのあと、福岡教授のお話しのあと」ではじまって、8つのプレゼンをそれぞれ短くもじって紹介しつつ、最後は、「Be yourself!」とシャウト。68歳にしてはじめてのラップ体験ではありました。おかしいねえ。これから授業は全部ラップでやろうかしら?


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