破急風光帖

 

★  日日行行(175)

2018.09.13

* 昨日は本郷で、東大のEMPプログラムの10周年のシンポジウム。最初のパネルに出席。そして今日は、本郷の弥生キャンパス、同じEMPのpreEMPプログラムで「みずほ銀行」の中堅幹部の人たち75名を前に哲学の講義。それがちょうど終った夕方です。でも、明日はまた京セラさんのBizArtの講義があると三日連続の講演/講義。この秋もなかなかはげしい。

 わたしは、パワーポイントを用意してそのままそれに沿って喋るということがどうも苦手。むしろその場の気配を読みながら、ジャズのように「現在」を踊ることに、自分の「知」のあり方を見出してきました。知識を教えるのではない、知ってることなんか教えてもつまらない、ぼくは自分が知らないことをこそ教えたいのだよ、といつも言ってきた。だから、パワーポイントは苦手です。昨日も今日も一応は用意したのだけど、結局は、その場で人々の前に立ったときの感覚で喋りはじめるから、PPからどんどんずれて行ってしまう。でも、それで自分が思いがけないこと言っているのを見出すのがおもしろいんですね。
 昨日は、「情報」ということばのこの「情」についての閃きを口走ったり、そうしたら元学長の小宮山先生の最後の講演のなかに、Nararativeを「情理」と訳してあるのに気付いて、おもしろいなあと思ったり。今日は、受講者からの質問に答えて、世界の宗教の統合、つまり「絶対」の統合こそが哲学のいまの使命なのだ、と絶叫してみたり、考えてもいなかったことをつい喋ってしまう自分に驚いていたりする。でも、こういうことは、耳を傾けてくれている人がいるからこそなのであって、ひとりで考えていてもなかなか過激にはなれない。この機会を与えてくださる東大EMPには感謝ですね。
 そうそう、その十周年イベントにあわせて、東京大学出版会から、中島隆博さん/EMP監修で、『世界の語り方』という2巻本が出版されました。わたしはその第一冊の「心と存在」のほうの「心の語り方」の座談会に参加し、エッセイも一本書いています。興味のある方はどうぞ。
 東京大学出版会からは中島さんと二人の共著本も準備しているのですが、わたしの作業が遅れています。もうまったなし。がんばらなければ・・・
 


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