破急風光帖

 

★  日日行行 (167)

2018.06.29

* 昨夜は満月。今日は晴れて、夏空。湿度はあるが、風もある。梅雨明けなのかどうかはわかりませんが、なにか「抜けた」という感覚が降ってくるのがすてきです。

 今週は、授業の前に、富ヶ谷のイッセイ・ミヤケの地下ホールで、一生さんと若いデザイナーさんたちのチームの作品Session oneの服を観ました。いつまでも若々しく創造的な一生さん。ほんとうに感動的ですね。10年毎にまったく新しいことをやる、とおっしゃっていたとおり、80歳代に突入してもそのエネルギーは衰えない。今回も、わたしには、まるで一生さんの原点であった「大地」の変容というテーマが戻ってきたような気がして、その野生への回帰に泣けました。
 しかもこの服は、売らないそうで、マーケットには出ない。そのような資本主義の原理を無視した創造にかける一生さんという人の大きさに、あらためて感動します。いつもいってますが、わたしがほんとうにミーハー的な「追っかけ」!をしたのは世界で一生さんひとりだけ。そのわたしを、一生さんはずっと30年にわたってそばに置いておいてくださった。ありがたいことですね。
 今回も縮重のテクニークを使った布で、わたしは、94年だったか、駒場キャンパスにお招きしてやっていただいた講演のことを思い出したりしながら、わたし自身もスチームを使って布を縮めるパフォーマンスをさせていただいて、なんと「自分でつくった一枚の布」をいただいてきてしまいました。
 わたし自身は、ひとに対して淡白というか、無作法なところがある人間だと思っていますが、そんなわたしの人生を彩ってくれているのが、すてきなひとたちとの出会いですね。日々行き生きつつ、感謝です。
 さあ、どんな夏になるのでしょう、この夏は。
(夕方、本郷で講義して、夜は、これも懐かしい荒川修作さんのことを思い出します)。
 でも、こう書いたら、一生さんも修作さんも、その出会いを深める契機になったのが、わたしが実質上の編集をしていた雑誌「Représentation」だったということを思い出しました。そう、雑誌って、出会いの庭なんです。わたしもそろそろわたしの「庭」の次号を立ち上げなければ・・・・と自戒です。



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