破急風光帖

 

★  日日行行  (150)

2018.05.01

* 5月。わたしのようなSoixante-huitard (68年世代)には、oh! le joli mois de mai à Paris(パリの美しい5月!)という歌が心に自然と流れてくるような青空。一鉢の鈴蘭をながめています。

 29日(日)の午後に、青学の総文10周年記念のトークセッションでモデレーターをつとめました。このような場にのぞむと、どうも多少の演出をしたくなるのが、長年やってきた性みたいなもので、少し会場がさみしいのでテーブルを飾ろうと直前に、1輪の赤い薔薇を買いに行ったのですが、その花屋さんに鈴蘭のかわいい鉢があるのを見るとそれも買わないわけにはいかなかった。誰でもパリに住んだことのある人にとっては、5月1日は鈴蘭の日。メトロの駅の出入り口で売ってます。それを買ってテーブルに飾ることで、5月の到来を歓ぶ、その質素な白の花が忘れられないわけですね。その鈴蘭の鉢は、モデレーターのわたしのテーブルに上に置いてみましたが、そんな「わたしの心」を読めた人がどのくらいいるのかなあ?まあ、いいけど。

 『午前四時のブルー』の完成を祝って、寄稿してくれたみなさんとの会食を先週末にオーガナイズ。遠く軽井沢からも写真家の高木由利子さんは出てきて参加してくださり、山田せつ子さん、朝吹亮二さんらと楽しく話しが弾みました。が、最後の盛り上がりが「愛猫」になり、わたしはついていけない猫談義、おいてかれました。

 先週は、パリからやってきたカトリーヌ・グルーさんとも会食。彼女と最初に出会ったのは、たしか1994年くらいだったか。駒場のわたしの研究室にやってきて、いっしょに共同研究しようと突然、言われたときのことをふたりで思い出しました。そこでトヨタ財団の研究費を申請し、ゲットして、おたがいに風景/都市などのいろいろなテーマで研究集会を催したりしました。楽しかったですね。
 彼女も毎年、春秋、かならず来日し、その度ごとにわたしと会食して議論します。この四半世紀の人類の文化の変化はすさまじく、とても単眼では全貌がわからない。もはや灯台が複数ないと地形が読めないのですね。その意味で、いつも変わらない複数の「灯台」をキープできることは自分の視野の広さを確保するためにどうしても必要なことなのです。

 そうそう、昨日は、これもパリから来た旧友の画家・原田宏さんを囲むパーティがステンドグラスのマイスター平山さんのお宅で開かれたのに参加。わたしの雑誌のトップ頁を飾っているモノタイプの版画のアーティスト・阿部浩さんともお会いできました。

 来週はベルリンからトビアスもやってくるはず。5月は友情の月かもしれませんね。


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