破急風光帖

 

★  日日行行  (149)

2018.04.27

* とうとう出来ました!! 昨年夏以来のプロセスがようやく一冊の雑誌となって刊行されました。『午前四時のブルー』(水声社・刊)、わたしの責任編集の雑誌、全120頁、定価は1500円。買ってください、お願いします。

 冒頭に阿部浩さんのモノタイプ、その後は、高木由利子さんの写真(大地のなかの人体の不思議!)、しかも最後は、わたしが夢見るようにダンスする一枚です。パスカル・キニャールさんからのテクストもいただきました。というのも、この創刊号の特集名が「謎それは自分」というキニャールさんの物語からとった一文。かれとわたしとの短い対話の記録もついています。
 ゲストの詩人は、朝吹亮二さん。さらにダンスの山田せつ子さんの感動的な詩的テクスト。ブルガリアの哲学者ボヤン・マンチェフがわたしのために書いてくれた詩。千種さつきさんがこの雑誌のために催してくれた茶会「午後四時の光」のドキュメント。桑田光平さんによる92歳のフランスの詩人フィリップ・ジャコテさんの訪問記(わたしも登場!)星野太さんのボヤン・マンチェフと行ったブルガリアの旅のエッセイ。菊間晴子さんの大江健三郎の「テン窪」に吸い寄せられていく夢と旅のエッセイ。松浦寿夫さんのセザンヌ論。そして、わたしの奇妙なエクリチュール「火と水の婚礼」(ここには昨年のインドの経験が反映されていますが、アンドレ・ブルトンにならって「秘法XXI番」と名づけています)。
 全体として「謎」についての詩的なアプローチ、あるいは不思議な旅の記録、出会い、そのようなものに捧げられた「庭」です。わたしが庭師としてたちあげた「庭」。
 この雑誌のあとがきに、読者へのお願いを書きました。どうか、わずか1500円の「花束」、ぜひ買ってもらいたい、と。それこそが、紙のうえに文字が印刷されて、その触覚を通して、ことばが読まれるという経験を保証するのだ、と。ディスプレイの上のことばではなく、紙の上のことば、あなたの眼が触れ、さわり、触覚することば、眼が「声」として聞くことば、をわたしは救いたいのだ、ほんのわずかにしても。この時代に抗して。その抵抗を残すために。
 
 水声社は、アマゾンによる本の価格破壊に抗議してアマゾンを通していません。ですから、お買いもとめていただくには、書店にご注文になるか、あるいは、水声社のブログ「blog水声社」に直接申し込んでください。まだ見本が出来たばかりなので、連休もあり、書店で手に入れることができるのは、連休明けの週になると思います。
 (東大駒場の関係の方には、101号館1階のIHSオフィスの立石はなさんのところで手に入るように手配をいたします。よろしくお願いいたします。)

 不思議ですね、このエネルギ−を使うなら、自分の本を一冊書けばいいのに、わたしの精神は、むしろ「友情」の場を開きたいのですね。みなさんといっしょに自分もいる、という感覚が好きです。そこから出発して、いったいどれだけの論集、シリーズ本、雑誌をつくってきたか。たぶん、わたしは著者である以上に編集者なのだと思います。その「初心」が、「老後の初心」として、燃えているということかもしれません。「老後の初心忘るべからず」、けっして忘れません、わたしは。
%E5%8D%88%E5%89%8D%E5%9B%9B%E6%99%82%E3%80%80%E6%9B%B8%E5%BD%B1.png


↑ページの先頭へ