破急風光帖

 

★  日日行行  (148)

2018.04.23

* 夏のような陽射しの日曜日。車を運転して東名を西へ。まだ雪をいただく富士山を横目に見て、三島のクレマチスの丘へ。

 ヴァンジ彫刻庭園美術館の「須田悦弘 ミテクレマチス」展のオープニングに行ってきました。直島の「碁会所」など、これまでにもいくつもの展示を見てきていますが、今回は、オープニングということで、キュレーターの森さんと須田さんの90分の対話があってそれを拝聴しました。朴の木を彫った小さな花や雑草。そのあまりにも「慎ましい」リアルに一瞬、空間と時間が止まります。必然的に朽ちて行く生命を、瞬間、永遠化する、それは、もっともささやかな、もっとも古い、しかし同時に、いつも新しい「美」です。
 わたし自身も、いつも「花」と「(雑)草」のあいだで迷っているので、ふたつの方向性を巧みに織り上げて作品をつくり続けている須田さんのお仕事に感じるものがありました。

 その前日の土曜は、孫を連れて、もう何十年ぶりか、「こどもの国」に行って芝生の上を、林のなかを歩きました。春の週末、萌え燃える植物の生命の飛沫を浴びて、わたしも少し若返らなければ。

 折しも、仕事の方は、世阿弥の「花鏡」の奥段のマキシム「老後の初心忘るべからず」を論じたりしていましたので。そう、「せぬよりほかに手立てがない」ところで、なおの初心。
 生命に終りあり、からだに果てあるべからず、それをこそ「いのち」とは言う、というところかな。(今日の午後の、中島隆博さんとの対談では、ダンスのことをつっこまれて、思わず、「自由」の感覚!と口走っていたりしました・・・!)


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