破急風光帖

 

★  日日行行  (146)

2018.04.07

* 新学期がはじまって1週間。寒暖の差の激しい日のせいか、この二日間風邪をひいて発熱。ひさしぶりにダウンという感じでしたが、今朝は、抜けて青空です。まだ少し咳が残っていますが。

 新しい年度は少しのんびりだよなあ、と思っていたのですが、あにはからんや、この1週間で立て続けにさまざまな依頼が舞い込み、あっと言う間に、これから10月までのあいだに少なくとも10日分くらいの講演/講義/会議/イベントほかが入ってしまいました。なかには、駒場の1、2年生からの「伝説の教授」の話しを聞きたいという声も。なるほど、「卒業」した途端に、「伝説」になるのか、と笑えました。
 昔、わたしの授業に出ていた元学生の人たちからのお声がけもあったりして、「昔」の時間がいま「花」となるみたいな感覚がありますね。そのきわめつけは、日曜の電話。なんともう何十年も会ったこともない小中学校の同期生からで、同期会に出て来い!と。まるで過去が戻ってきた感じ。わたし自身は、ほとんどけっして「過去」に戻っていかないひと、ふらふらとでも前にしか進まないひとなんですけどね。ノスタルジーはない。思い出にしがみつくこともない。ともかく、できるだけ遠いところにまで行ってみたいだけ。「存在の冒険」(わたしの修論のタイトルですが)こそが、わたしのマキシムです。
 今週は、演劇を観に行きました。これも青山学院で修論を指導した元学生といっしょに。無名塾の「肝っ玉おっ母と子供たち」(世田谷パブリックシアター)。85歳のはずの仲代達矢さんが約30年ぶりに演じる「肝っ玉おっ母」、2時間半ほとんど出ずっぱり。すごかったですねえ。圧倒されました。これは、全国ツアーを終えたほんとうの千秋楽の公演だったのですが、劇場が熱い熱気に包まれて。Mütter Courage! のただひたすら「生きのびる」力に心動かされました。同時に、「人間」にとって「戦争」とはなにか? たんなる反戦演劇などという枠を超えたブレヒトの深い問いかけが響いていました。それは、まさに、現在進行形の世界状況に投げかけられた「問い」でもありました。

 『午前四時のブルー』はすべてのゲラを昨日戻しましたので、来週、入稿です。再来週には刊行されると思います。


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