破急風光帖

 

★  日日行行  (139)

2018.03.10

* 帰国して1週間。やっと時差が抜けたか。この間は、おもに「未来」の連載原稿のために、メスの森村さんのパフォーマンスのことを語るテクストを書くのにエネルギ−を投下していました。この出来事は書いておかなければと、予定を変更して「間狂言」を挟んだ次第です。

 もっともその間にも、オペラシティにスティーブ・ライヒを聴きに行ったりもしていますが、日本のいつもの慌ただしい時間のなかにすっかり戻ってしまいました。昨日は、長年、選考委員をやっている日本証券奨学財団の奨学生の修了式。神保町の如水会館で行われたものですが、この式に出ると、2011年3月11日、この式がはじまる直前に大地震に襲われたときのことを思い出さないわけには行きません。すぐ横を走る高速道路の道路標識がぐらぐら揺れ、わたしがスピーチしているあいだも、強い余震が来てシャンデリアが横揺れ、それでもスピーチを続けたことなどを思い出してしまいます。
 あの晩、成田空港に向かうために上野駅まで歩いて、結局、すべてが止まっていたために、四谷まで歩いてリュシールさんの家に泊めてもらったことなど。あの「暗い東京」の光景、ああ、なんと時間が経つのははやいことか。南三陸にも2度行ったけど、まだ3度目は行っていない、飯館村も再訪を誓ったのだったのに。と、自分を責めるように、いろいろ思います。心が騒ぐ、3月11日前後です。

 全然、別のトピックですが、富山の高志の国文学館で、3月18日から「歌人 大伴家持 現代と響き合う詩心」展が開催されます。なぜかわたしも頼まれて、家持の歌についてのコメントを、便箋1枚分ですが、「直筆」で!書きました。冷や汗ですねえ。わたしの下手な「字」が展示されるなんて!ありないことです。笑ってしまいます。はずかしいので、ゴマカシテ置きましたが。

 
 
 


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